2005年 年度別テレビドラマベスト10
【作品賞・連続ドラマ部門】

順位 題名 放送局 期間 あらすじ 感想
第1位 電車男 CX 7月〜9月 派遣会社の営業マンの山田剛史は小心者でネットオタク。
ある夜、電車で酔っ払いにからまれている美人OLの沙織を助ける。
そして思いがけず沙織と交際が始まる。
彼女いない暦2×年の剛史は掲示板に書き込み助けを求める。
そして掲示板の仲間達のアドバイスで、交際は進んでいくのだが

ネット掲示板に投稿し、見知らぬ相手とコミュニケーション。まさにいましていることがドラマになったと言う。しかもこれ脚色がうまいのだなあ。現実の書き込みとのつながりのよさ。それでいて結構荒唐無稽なエルメスの家庭環境。生活感を感じさせない伊藤美咲のエルメス。ひょっとして、存在感のなさこそエルメスなのか???だとしたら・・。いやー怖いですなー。伊藤淳史君がはまり役と言うか・・。
剛史のサーフィン挑戦とか、桜井和哉との三角関係とか、エルメスの家族の問題、エルメスのトラウマなど、本来の書き込みには無い創作プロット多くちりばめながらも、書き込みの内容はほとんど2ちゃんねると同じ文書を使うということで話をうまく膨らませている。伊藤美咲の不思議キャラとあいまってうまくエルメス像を作っている。

 

第2位 優しい時間 CX 1月〜3月 ニューヨーク駐在経験もあるエリート商社マン・涌井勇吉(寺尾聰)。だが2年前、妻の事故死をきっかけに会社を辞め、北海道・富良野に移住して喫茶店「森の時計」を開く。

一方、自分の運転ミスで母・めぐみ(大竹しのぶ)を死なせてしまった息子の拓郎(二宮和也)は、富良野からほど近い美瑛で陶芸を学んでいた。

事故後、勇吉は息子に会おうとはせず、親子の関係は断絶状態に。だが「森の時計」の従業員・梓(長沢まさみ)と拓郎が、偶然知り合って…。

今作は「父と子の絆の再生」がテーマ。断絶してしまった父子の心の雪解けが、北海道の雄大な大自然を背景に描かれていく
(以上優しい時間ファンサイト様より転載しました)
美しくも厳しい富良野の自然。寺尾さんが不器用さを出しながらも、親子の関係が再構築されるさまをうまく演じている。二宮君は初見ですが上手ですね。長澤まさみさんとの初々しいカップル。ピュアさが前面に出たいい感じ。最近はすっかり角が取れていい感じになっている幽霊?役の大竹しのぶさん、すてきでした。

拓郎の梓への言葉遣いが古臭い(今の若者の言葉ではない)とか、父に最後まで敬語を使うとか、あまりにもの刺青の言葉とか、時代感覚がちょっとという面はあるけど、やっぱりあの大自然を出されると・・。

第3位 タイガー&ドラゴン CX 4月〜6月 山崎虎児(長瀬智也)は横須賀出身の元ヤンキー。12のときに、父親が一家心中を図ったが、一人だけ奇跡的に生き残った。

 18でヤクザに拾われ、27まで他の世界を知らず、何の疑問も持たずに生きてきたが、組長(笑福亭鶴瓶)からの借金を抱えた落語家、林屋亭どん兵衛(西田敏行)を追い込みをかけている最中、寄席でその噺を聞いた虎児は、たちまち落語の世界に魅了されてしまう。虎児はその足で、怯えるどん兵衛に弟子入りを志願する。(以上公式HP より)
1月のスペシャル版(導入編)に続く1話づつ落語を主題としたエピをうまく加工して話を作っていく。
好きな落語がこんな形でドラマに・・。落語の話をストーリーに沿って当て書きすると言う宮藤官九郎は凄いなー。うまいなー。長瀬君の落語家が上手になっていくのが楽しかった。西田さんはさすが。ただ最後のあたり、殺人や暴力シーンが中心になっていって違和感あり残念。
第4位 あいのうた NTV 10月〜12月 不幸な生い立ちを持ち、正確ブスになってしまった洋子。自殺しようとしたところを、元刑事で心優しい男片岡に救われ、彼の家庭で暮らすことになる。片岡とその子供達との温かい家庭にしだいに洋子の心は癒され性格は変わっていくが・・片岡はある病気もちで・・・。

岡田恵和さんらしいメルヘン的な世界が現出してきた。上手な役者さんがその世界に入ってうまく泳いでいると言う。この世界あまりにも出来すぎた予定調和のせいで賛否両論ありという。菅野美穂さんの爆裂キャラが普通の人になっていく過程が実にいいのですね。そして和久井映見さんのタイムリーなつっこみ。こういうタイプの人だったの?とびっくりしてしまう。いいじゃないですか。よく出来たキャラ。最後のシーンの、竜頭蛇尾なのが惜しい。

第5位 いま会いに行きます TBS 7月〜9月 軽い障害のある秋穂巧は1年前最愛の妻、澪を病気で亡くす。その後は澪の忘れ形見一人息子の佑司と暮らしていたが、澪の生前、澪が描いた絵本に、1年後雨の季節に戻ってくるという言葉を思い出していた。
そして雨の季節になり・・巧と佑司は絵本に描かれた森に出かける。
すると森の奥の廃墟に妻の澪がたたずんでいた。
そして再び三人での楽しい生活が始まる・・・しかし澪は記憶を失っていて・・・。

映画版を最近見ました。脚本が同じ。子役が同じ。そして映画版のゆったりした美しい風景や雰囲気を踏襲している。
ドラマでは年齢的にはやや若すぎる夫婦でしたが、最終的には違和感なく、ドラマ版では膨らまされたサブプロットも納得のいくものでした。とくにお母さん役の三田佳子さんが健在振りを示してうれしい。

膨らまされたプロットがうまく出来ている。澪の友達の万里子との関係や。ケーキや夫婦のキャラなどがうまく付け加えられたドラマ独自の雰囲気がいい。

第6位 七色のおばんざい NHK名古屋 6月〜7月 名古屋で小料理屋を一人で経営している悦子。悦子は過去を誰にも話そうとはしていない。
悦子の店に今夜もさまざまな客が悩みを抱えてやってくる。そしていつしか悦子はその悩みにかかわることになり・・・。

ご当地制作のドラマ。家族の話を毎週おばんざい屋のおかみがミステリータッチで推理していくという、そして自らの過去も明らかにされます。とても面白い話。相田翔子ちゃんがうまく演じています。でもなにより富司純子さんの好演が光る。

 

第7位 恋に落ちたら〜僕の成功の秘密 CX 4月〜6月 6年前小さな町工場を経営する父をなくした鈴木島男は引き続き母と二人で工場を切り盛りしていたが、ある日商店街の福引に当たりハワイへ行くことに。島男はそこでベンチャー企業の「フロンティア」の社長秘書の白川沙織と知り合う。そしてフロンティアの社長の高柳から、何かあったら尋ねておいでと名刺を渡される。
工場に戻った島男は経理担当の従業員の不正で工場が倒産してしまう。島男は名刺をもらっていたのを思い出し高柳に会いにフロンティアに行くが、入館のセキュリティが厳しく高柳に会うことができない。
悩んだ島男は社長に会う機会を作ろうと、フロンティアの入っているビルの警備会社に就職する・・・。

よくある題材だが、いまから思えばタイムリーな企画。草なぎ君がいつものまじめな感じ。時々かっとして切れるところはちょっと面白い。うまくなってきたのでしょうか?堤さんはさすが。でも脇役の山本浩史さん。木村佳乃さんがいい味出していて、こういう使われ方もったいない。 

第8位 anego NTV 4月〜6月 30代の独身OL、職場ではリーダー的な立場でanegoと呼ばれている野田奈央子の仕事と恋を描く。 篠原涼子さんが味のあるキャリアウーマンを好演している。お話はまあいいところもあるけどちょっとひどい設定のときもあるので・・。微妙です。でも面白かった。赤西君は初見ですが、ちょっととぼけていて、でも初々しくもあるし、若い人に多いぎらぎらしたところが意外に少ないのは好感が持てる。ともさかさんはこういう役が多いけど、見ていて疲れを感じるほど?うまいな。
第9位 義経 NHK大河ドラマ 1月〜12月 悲劇の武将、源義経の生涯を描く。主役として源義経を大河ドラマで取り上げるのは2度目。 大河を忘れとりました。うーんなにせ主役がなあ。平家側にいい役者が多いのに。みんな死んでしまうので。結局義経主従だけとなり終盤つらくなる。でも滝沢君は、黛さんの幻想的な演出もあいまっての五条の橋、八艘飛びの映像美・ロマンチック感で存在感を示しているのじゃないか?このシーンの殺陣は抜群!ただ安宅の関は、富樫の石橋蓮司がよかった。義経従者は全般にひどかったのだが、松平さんはこの場面だけは存在感を示した
第10位 どんまい NHK夜ドラ 11月〜12月 人気コミック「どんまい!」をドラマ化。新米介護ヘルパー、里見優。行く家々で騒動を巻き起こし、苦情の嵐を受けながら「どんまい!」 と、小さな希望の種をまいていく、パワフルな介護ドラマです。(以上NHK公式HPより)

結局この下宿のメンバーのそもそもの成り立ちとか、優ちゃんの過去とかを1週入れたほうがよかったのじゃないの?いきなり下宿のメンバーの濃さとかが突然はじけてしまう冒頭はちょっと説明不足か。個別の話はよかっただけに(多少安易な解決の部分もありますが)、相武沙希ちゃんの明るさとか、淡路恵子さんのさすがな存在感。達者な三宅祐司と隔週ごとの豪華なゲスト・・。もったいない

選外 恋の時間 TBS日曜劇場 10月〜12月 キャリアウーマンの雪枝と主婦の香里は美人姉妹。それぞれ二人は新しい恋をすることになる・・・。 全体としてはいい感じなんだけど。大森南朋さんはピアニストおよび不倫相手には向いておりません。あと宮迫さんだけは雰囲気が違う。どうもこれはね。宮迫さんは大好きなのだけどね。
選外 熟年離婚 EX 10月〜12月

仕事一筋だった幸太郎が定年退職を迎えた日の夜に、長年連れ添ってきた妻から突然三行半(みくだりはん)―要は記入済みの離婚届を突きつけられる。(以上ウィキペディアより)

結局離婚を言い出した奥さんが気持ちを変えて復縁を願うと言う。ここらがまあドラマを見ているとリアルに見えないということか。せっかく渡さん、松坂さんといい人をそろえているのに。
選外 スローダンス CX月9 7月〜9月 自動車学校の教師をしている芹沢理一にはいつか映画を撮るという夢が有ったが今は現実に埋もれその夢はほとんど諦めかけている。
理一は今は別れてしまった大学時代の彼女、歩美のことを今も思っている。
そんな中、ショップの女性店長、牧野衣咲と知り合う。偶然にも彼女は自動車学校の生徒であり、しかもかつて理一の高校時代の教育実習生だった。
衣咲は付き合っているバツイチの彼氏からプロポーズされたが、その条件として前妻の娘とともにドイツに一緒に行ってくれといわれてしまう・・・。
深津絵里さんと妻夫木君がいい感じなのだけど、衣咲の思いが兄から弟への気持ちの変化が見えなかった。藤木君がだんだんボケキャラになるのがしょうがないなー。(後半振り回されっぱなし・実乃への告白もヘタレてしまって・・どうしたのでしょう。もうちょっときりっとしたキャラのはずなのに)
選外 夢で逢いましょう TBS 4月〜6月

北原ハツミ(矢田亜希子)は海上自衛官の父・恭太郎(長塚京三)と祖母・華子(野際陽子)と3人で暮らす26歳の歯科衛生士。ある日、ハツミに3人の若い男がプロポーズを申し入れた。ハツミが結婚するまでの生活と、家族との愛情を描いたホームコメディー。(以上ウィキペディアより)

どうも淡々と進み、なんと言うこともない話になっていきますが・・。ここでは長塚さんと、矢田さんの親子の関係がすべてかな。矢田さんと長塚さんはいい感じなのですが、押尾君のイケメンなのだけど、結局、都会の歯科医院をつぶしてしまうヘタレ度の高さ。しょうがないね。矢田ちゃんに似合わない・・ん?実話か??

【作品賞・単発ドラマ部門】

順位 題名 放送日 あらすじ 感想
第1位 いくつかの夜 CBC 10月15日 中谷恒平は68歳、定年後すぐに妻を無くし、息子夫婦と2世帯住宅に住んでいるが、折合いが悪い。今日も家に帰りたくなくて、一度も入ったことがない深夜営業のマンガ喫茶に入っていく。
なんとなく居心地の悪さを感じつつ席につこうとするが、いきなり若い女が席からふらついて出てきて倒れてしまう。恒平は驚いて抱きとめる。そして女を喫茶店の若い店長と一緒に病院へ送り届ける。女はどうも薬を飲んで自殺しようとしたらしい。
女の家族への連絡を店長に任せ、恒平は心残りのまま帰宅する。
数日して、その女(百合)が突然恒平の家をたずねてくる。

妻に先立たれた初老の男に突然起こったメルヘンのような出来事。鶴田真由さんがちょっと天使のような。それでいて男にとっては母親のような、妻のような、恋人のような。ありえないのだけど。なにかこういう女の人がいそうな・・。けっきょく男にとっては思い出を残し、新しい生活へのきっかけにはなったということなのか。しかし何か悲しい結末。緒方拳さんはいいなー。そして男と親しくなった後の鶴田真由さんのあっさり感がいいなー。ぐでくでしてなくて、いかにもあなたとは色恋沙汰じゃないよ・・。という表情。こんな感じだからこういう不思議な関係を語れるのでは。

第2位 太宰治物語 TBS 10月10日 井伏鱒二(橋爪功)の紹介で見合いをした太宰治(豊川悦司)は、美知子(寺島しのぶ)と結婚し、生活を始める。その前に心中事件を起こし生き残って世間の話題になった太宰と、嫁き遅れの美知子はお互いを「ただひとりの人」と心に決める。しかし、太宰と生きることは、美知子にとって「生活する」ということと同じではなかった…(以上TBS公式ホームページより)

豊川悦史さんが太宰を演じる。それだけで見たい気持ちになります。ちょっと昭和初期のやくざっぽい感じが残念だけど、この難しい人をそれらしくよく演じてくれたと思います。寺島しのぶさんの奥さん役はいい感じ。天才作家で破滅型の放蕩三昧の夫をよくささえている感じ。よく出来ているのじゃないか。ただ、ドラマ的に入水する理由を経済的なものに限るように書いているのは微妙だ。

第3位 六千人の命のビザ〜杉原千畝物語 YTV 10月11日 1940年、第二次世界大戦のさなか一人の日本人外交官がヨーロッパの小国リトアニアで、大きな決断をした。それは、ナチスドイツに迫害され生存の危機にあった数多くのユダヤ人に日本通過のビザを発給し、ヨーロッパ脱出をたった一人で手助けすることだった。
彼は、妻・幸子と共に戦時下のヨーロッパで博愛主義を貫き、6千人ものユダヤ人の命を救った。
(YTV公式ホームページより)

正直言ってドラマとしてはもう一つだけど、この杉原千畝さんの事をドラマにしてくれるだけで満足なのです。反町さんは力不足ながら熱演しています。飯島さんはこういう良妻賢母タイプじゃないがなあ。タイプが違う。惜しい 

選外 絶壁〜山岳警備隊・疾走る NHK 11月6日 山岳警備隊の水越鷹之には自分には心を開かない妻の連れ子、雄太がいた。
ある日幼い女の子が山の中で消息を絶つ。鷹之はいっしょにいた女の子の母親の葉子の様子がおかしいことに気がつく・・・。
杉本哲太がやや固い。惜しい。いい話なのに。 


【個別部門】

受賞者、受賞対象 題名 放送局 感想
演出賞 黛りんたろう 義経 NHK

賛否相半ばする方ですが、個人的には大河のあのシーン(五条大橋・八艘飛び・静御前しづやしづの舞等)の映像的な美しさは、個人的には評価したい。(もっとも最後のロケットはご遠慮しますが)

主演男優賞 渡哲也 熟年離婚 EX やはり抜群の存在感と言うことでしょうか、義経でも清盛の死後はちょっと気が抜けた。熟年離婚では名コンビ復活なのだが、ここでの頑固だけど、冷静になれば大人の判断や生き方をし、抜群のリアル感を出した。あとは、玉置浩二(あいのうた)、寺尾聡(優しい時間)、緒方拳(いくつかの夜)かな。
主演女優賞 菅野美穂 あいのうた NTV なんと言っても上手。とんでもないキャラから、後なの女に微妙に変わっていくキャラを演じ、とてもかわいかった。
助演男優賞 平幹二朗 義経 NHK 出番が少ないのじゃ?という向きもありましょうが、とにかく作りすぎのキャラ。一般的にもたれている後白河法皇(悪役)のイメージをこれほど端的に(あるいはベタに)表現してくるとは・・。
助演女優賞 和久井映見 あいのうた NTV 和久井さんこんなキャラを演じてくれるとは、面白い。菅野さんと和久井さんで出来ていると言ってもいいドラマなのです。
主題歌賞 明日 優しい時間 CX もうとにかくすてきな曲です。ドラマと雰囲気がぴったり。
台詞賞 「おとうさーん。愛してるー。」(ハツミ(矢田亜紀子)が父親(長塚京三)に叫ぶ台詞) 夢で逢いましょう TBS 父親でもないのに矢田さんにこれを言われては・・・。
もう泣きそう・・・。ベタですねー。
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