うたの旅人~井上陽水「最後のニュース」

紹介した曲の歌詞はリンク先を参照してください。

2008年6月29日の渋谷オーチャードホールの井上陽水のコンサート、がんで闘病中の筑紫哲也さん、聴衆の一人だった。

筑紫さんが陽水を知ったの朝日新聞の記者時代だった、「傘がない」の歌からで、筑紫さんは、テレビ朝日の新番組「こちらデスク」で「傘がない」を流し、2番の歌詞を引用し、そんなような番組にはしない、と挨拶していたそうだ。

今度はそのテレビを見ていた陽水さんが、「この人、わかっているな」と思ったという。

その後朝日ジャーナルの編集長になった筑紫さんは陽水さんと「若者たちの神々」シリーズで対談し、知己を得る。筑紫さんはこのミュージシャンが実はニュースに敏感な人間だと知ることになる。

筑紫さんは89年に朝日新聞を去り、TBS「筑紫哲也NEWS23」のキャスターとなる。そして陽水さんにエンディングテーマを依頼することとなる。

 

最後のニュース(1989年発表)

陽水さんはこの年のニュースにインスパイアされたこの曲を作ることになるのだが、翌年陽水さんはこの曲のイメージビデオを制作する。

歌詞作成の時にインスパイアされたニュース映像を絡める力作だったが、借用した映像の権利関係の問題から、筑紫哲也NEWS23番組内のみの放映にとどまってしまう。(自分は確か見ていたと思う)

映像;アポロ11号に水をかけ、ケネディ大統領やジョンレノンの銃撃事件を嘆き、でもそれを忘れてしまう。

飛行船ヒンデンブルグ号の悲劇、人口急増に難民のボートピープル。

目覚めかけた女たち・・ロス五輪のアンデルセン選手のマラソンゴールインシーン。当時問題だったフロンガスは今の時代二酸化炭素に置き換えられる。

薬は薬害エイズ、同時に麻薬の害も意味していて。自身の古傷にも間接的に触れている。

この曲の発表から20年近く経過してしまった、陽水さんの中では異彩を放っているこの曲の意味合いは現在でも変わらない。

(朝日新聞《2010年3月20日》の記事を参考に個人的に作成したものです)

 

 

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