個人的なマーラーコレクション

例によって印象に残ったLP,CDのみコメントしています。

題名 ジャケット写真 演奏者
感想
交響曲第1番「巨人」 ブルーノ・ワルター指揮
コロムビア交響楽団
40年近い前、このLPが発売されました。
高校だったか中学だったかの音楽の時間には、ブルックナーやマーラーの事はあまり聞かなかったような、ブルックナーやマーラーの名前はそれほど知られてはいなかったんだと思うんですが、
この巨人が出て、すぐにマーラーが好きになりました。若いころはオーケストラ曲が好きで・・。ステレオの初期のころで、オーケストラの録音にはモノラルよりも広がりのあるステレオ録音が合致していたのです。
 
今からして思えば、マーラー初期としては、ワルターのアプローチは古典的で、バーンスタインと比べるとわかりますがあまり濃くは演奏していないんですね。
でもある意味未完成な若さも散見されるこの曲の弱さを十分にカバーし、意味合いのある音にしていると思う。
ほとんどのマーラーの曲を初演しているワルター。
この演奏は素晴らしいと思います。
交響曲第4番 レナード・バーンスタイン指揮
ニューヨークフィルハーモニック
マーラーを得意にするバーンスタイン。その中でも最もつぼにはまっている演奏ではないだろうか。冒頭からのルパートや、自由なテンポの変化はマーラーらしく、濃い演奏にも関わらず自然に感じます。作品と演奏者の思いが一致する幸福な瞬間です。
交響詩「大地の歌」
ブルーノ・ワルター指揮
ウィーンフィル
カスリーン・フェリア(A)、ユリウス・パツァーク(T)
中年になってからは、この作品の持つ歌詞(というか漢詩:アレンジしているらしいけど)の厭世的な面がどうも受け入れがたく、長く聞くのを控えていました(シューベルト「冬の旅」もそうなのですが。)
久々に、買いなおしたCDを聞いて、このワルター〜ウイーンフィルのLPの名盤を聞いた昔の感動が蘇ってきました。
美しいメロディー・・・。そうなんです、これはオーケストラ伴奏つきの歌曲として考えればいいんです。マーラーは早死にで(50歳で亡くなっています)、死ということをどう考えていたのか、決してマーラ自身が老境にいたったと考えた時点での思いではないような気がする。
若いころはやはり死と言うか、老いは現実的なものとしては考えず、想像の中にあるもの・・・という考え方をしていた事を、年を取った今の自分は分かる。(と思う)
 
この曲のメロディの華美さは死を前にした諦めとは何か違う。
もちろんこの曲の作曲当時、マーラーは私生活でいろいろな問題にぶつかっていたし、体調もよくなかったようです。
しかし当時彼はまだ40台、若いです。死というものを考えるのには若い、残念ながら数年後にマーラーは亡くなるのですが、この曲の作曲当時はまだ若さの残るマーラー、甘美さの充満したメロディー・・。
そう思うとちょっと気が楽になります。
 
マーラーと親交のあった、この曲の初演者でもあるブルーノ・ワルターの、ウイーフィルを率いたモノラル録音です。
でも録音はモノラルながら鮮明であり、ワルターが気分が乗っていてとても鋭い素晴らしい演奏。
 
ワルターの晩年は、アメリカ大陸をほとんど出ず、ウイーンフィルとのレコードのステレオ録音は実現しなかったようで、残念です。

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