個人的なブルックナーコレクション

交響曲第3番「ワーグナー」


朝比奈隆指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 1993年10月録音
朝比奈はブルックナーの3番を3回録音しているそうですが、これは最後の録音とのこと。大フィルの練習場での録音でありいわゆるライブ録音ではありません。しかし魂のこもった素晴らしい演奏。

第3番は後年の交響曲のブルックナーらしさがすでに開花している曲。それでもブルックナー独特のちょっと流れにくいような旋律の無骨さがまだかなり残っており興味深いです。
しかし同時に第2楽章のようなブルックナー独特の深さ意味深さを持っており、朝比奈がそれを濃く表現している。

ワルターのマーラー第1「巨人」の演奏を思わせるような、演奏としては渋く完成しているのだけどそれだけに曲のよさを過不足無く完全に表出させていると思われる。
交響曲第4番「ロマンティック」 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
ウィーンフィル
渋い。録音が古いせいか、版の問題のせいか響きが曇りがち。まあそれがクナらしい。
sfの巨大さ。ppの静けさ。いつものクナ。ロマンティックに限っては他にもいいCDがありそうだけど、それでもクナはいい。
交響曲第4番「ロマンティック」
ブルーノ・ワルター指揮
コロムビア交響楽団
この演奏で、ブルックナー入門を果たした記憶があります。
ワルターの響き、少数のコロムビア交響楽団ということもあってか響きが軽い。しかしこの曲の曲想ははずしていません。
まあ最終楽章は物足りないかもしれないが、スケルツォなど、さすがはワルターと思わせる。個人的には捨てがたい。
交響曲第5番
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団
(2001年4月21日、大阪 ザ・シンフォニーホールライブ録音)
明らかに1994年版よりもよい。第1楽章からして金管の強奏、しかし決してうるさくならない。的を射ている感じ。さすがとしか言いようがない。
第2楽章はこの曲全体の感じからすればやや軽めなのだが、でもノスタルジックで分かりやすくていい。朝比奈さんはそのままの感じを伝える。重くはしない。
第3楽章テンポは基本的に遅い、早い部分とのつながりがやや強引か。
第4楽章、これは凄い、曲そのものの力、ブルックナーらしい豪放さ。剛直なほどの力強さ。響きが幾分もやもやしているのは日本のオケだから。出来れば透明さがもう少し欲しい。響きが渋さに摩り替わらないように、ブルックナーの持っているのはあくまでも透明さ、鮮明さなのだから。おそらくこれは録音のせいもあるのだけれど。
しかしこれは圧倒的な迫力。第5の持つパワーを引き出している。さすが朝比奈隆。
交響曲第7番
ロブロ・フォン・マタチッチ指揮
チェコフィルハーモニー管弦楽団
これはLP時代の記憶です。豪放、豪快なマタチッチ、でも荒っぽくはありません。ブルックナーでもその流れでブルックナーの持つ豪放さ大胆さを出していきます。
それでいて歌う旋律。響きがやや曇っていてブルックナー的からは少し遠いのですが、ヨッフムの自然の響きながらもやや弱い演奏から比べればこの豪快さは捨てがたい。
交響曲第7番
朝比奈隆指揮
大阪フィル
あのブルックナーのいた聖フロリアン教会でのライブ。少し前に聞いたので記憶が薄れていますが、朝比奈さんの指揮は晩年よりはテンポが動く感じ。でもブルックナーらしい記憶でした。
驚くのは第2楽章と第3楽章の間にたまたま教会の時を告げる鐘が遠くで鳴っていまして、もちろんこれは偶然なのですが、感動的なシーンなのです。
朝比奈さんとしては初めてのブルックナーレコーディングだそうです。
交響曲第8番
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 第8の巨大さを余すところなく表現するクナッパーツブッシュ。まあいささか渋すぎるかと言う感じ。録音の古さや、ミュンヘンフィルのドイツ的な重い音色。ブルックナーではどうだろう。
やはり比べてはいけないけどもウィーンフィルだったら木管の小鳥を思わせる音色もあったと思うし、クナの渋さを華やいだ音色でカバーしたかもしれない。
そういう贅沢な思いも抱いてしまう。
でもやはりブルックナーの豪放さには合致しているクナの演奏は素晴らしい。ワーグナー的という思いもここでは少なめ。
交響曲第8番
朝比奈隆指揮
NHK交響楽団
ついに朝比奈隆〜N響(1997年3月6日 N響定期公演ライブ録音)を聞く。ストイックな結晶化された響き。でも味わい深い意味深い旋律。素朴さを保ちながらも決して無骨さを見せない。しかも巨大でありながらもどこかスッキリした味わい。でもシューリヒトっぽくは無い。
もうまったくブルックナーらしい。ブルックナー第8交響曲のよさしか感じさせない演奏。これって再現としては理想的では・・。
ブルックナーが日本人に人気が有るのもわかる気がします。法悦を感じさせる・・木管の素朴さ。鳥のさえずり・・。
いわゆるドイツ的な田舎くささがブルックナーにはあるのだけど、朝比奈はそれを感じさせない。素朴さを表出しつつ巨大さを保つ
ブルックナーのよさを前面に出して無骨な欠点を押し隠してしまう。
朝比奈のブルックナー演奏は年を重ねるごとに、音の響きが意味深く充実したものになっていく・・・。これはすごい名演。
交響曲第9番 カールシューリヒト指揮
ウィーンフィル
シューリヒトのブルックナーはテンポが速く、時にしてアッチェレランドをかける。
ゆっくりしたインテンポで進行し味が出るブルックナーであってみれば不思議だけれど、シューリヒトのもつ素朴さ、ストレートさがブルックナー的で説得力を持つ。
しかもこの演奏はウイーンフィルとの共演。木管の素朴さ音楽性の豊かさがさらに裏打ちされる。名演です。

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