個人的なバッハコレクション

最近聞き返したもののみ掲載しております。

曲名 CD 演奏者 感想
ブランデンブルグ協奏曲 ラインハルト・ゲーベル指揮
ムジカ・アンサンブル・ケルン
評判の高い古楽器集団のバッハ。個人的にはバッハの演奏、古楽器にこだわらないのですが。
この演奏、1番、2番と平凡な演奏なのですが、3番になってとたんに個性が強くなる。恐ろしく速いテンポ、古楽器ということよりもこのスピード感に惹かれてしまう。曲への共感が強いのでしょうか。第4番、第5番、第6番でもこの速さ、スピード感は変わらないが、ここではやや速すぎるのではないか。古楽器が持っている滋味には目もくれない。まあ乾燥した演奏では決してないが。個人的にはこれはちょっとと言う気もする。
古楽器でないのに、テンポの速いアプローチの、カール・リヒター盤が意味合いの深さを持っているのに比べれば未熟なのか。
ゲーベルの指揮するほかの曲も聴いてみたい。
ブランデンブルグ協奏曲 ルドルフ・バウムガルトナー指揮
ルツェルン弦楽合奏団
管弦楽組曲とのカップリング。1978年録音。
昔の演奏様式であり。ブロックフレーテなど使用しているものの大部分は現代の楽器使用。

しかしこの豊かさや、特に6番の優雅な響きは演奏人数の少ない古楽器楽団では味わえないものではないでしょうか。
ブランデンブルグ協奏曲 カール・リヒター指揮
ミュンヘン・バッハ・オーケストラ
アーノンクールとは違い、オーソドックスな現代の楽器主体による演奏。
ただブロックフレーテやチェンバロはもちろん使用している。
(最も第5番では曲調を考えてか?横笛フルート使用<フルートはオーレル・ニコレ>)
どうもリヒターは古楽器(特に弦)は好みじゃないようですが、しかし、これは素晴らしい演奏。
 
リヒター盤の特長はソロ走者の技術が素晴らしいことで、まあ書くまでも無いのですがオケとのバランスといいアンサンブルが素晴らしい。それでいて技術偏重でなく気持ちのこもった演奏・・・。
 
54歳の若さで心臓病で散ったリヒター。残念です。
ブランデンブルグ協奏曲 アーノンクール指揮
ウイーン・コンツェントゥス・ムジクム
いわゆる古楽器による演奏。さすがにブロックフレーテ(リコーダー)の音色は味わいがある。第3番はsfが鋭い。ちょっとヒステリックかな。アーノンクールは古楽器ながらも恣意的な濃い演奏が特徴であり、はまれば面白いが、上滑りするとちょっと冷たい演奏になってしまう。そういう意味では第5番は割合にオーソドックス。あと第3番の第2楽章、チェンバロの即興演奏は素晴らしい。
ブランデンブルグ協奏曲 指揮: グスタフ・レオンハルト
演奏: フランス・ブリュッヘン, グスタフ・レオンハルト、フルシー・バン・ダール,アンナー ビルスマ、ハウル, ドンブレヒト
メンバーがとにかく凄い。でもそれほど我も我もと言う感じは少ない。
とにかくレオンハルトのテンポが速い。まあ恣意的とまでは行かないが。やはりリヒターの速いけどポイントを抑えた指揮に比べればちょっとと言う感じかな。
イギリス組曲 グスタフ・レオンハルト(チェンバロ) 渋いヴァルハと違い、華やかなレオンハルトの演奏、感情豊かですが決してロマンティックな甘い演奏ではありません。バッハらしくストイックで格調は高い。渋くはないだけです。

フランス組曲よりは渋く形式的な、でも格調高いイギリス組曲にレオンハルトの華やかさがうまくミスマッチしています。

チェンバロの再生音量は小さくしたほうがいいのですが、レオンハルトの場合チェンバロの華やかな音色を聞き取るには多少大きくしたほうがいいかもしれません。
トッカータ。アダージョとフーガBWV564 ヘルムート・ヴァルヒャ(オルガン) 最初はホロビッツのピアノ版で聞いたんですが、オルガン曲なのに意外な軽妙さがある曲で気に入ったんです。
ヴァルヒャのオルガンは硬くなりがちなチェンバロ演奏とは違い、楽器の多彩な音とあいまって、ヴァルヒャのまじめさがうまくオブラートにくるまっているような感じです。
無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ ヘンリック・シェリング(ヴァイオリン) 旧盤とスタンスはさほど変わらない。ホールの残響が多いせいかロマンティックな演奏に聞こえるのだが、実はストイックな演奏なのだがそれが聞こえづらく不鮮明なのかな。
結局旧盤と比べると甘く聞こえるのだが、これは気のせいなのか。最近では個人的にはこちらを取るようになってきたのだが、どうなんだろうか。
無伴奏チェロ組曲 ムスティスラフ・ロストロポーヴッチ(チェロ) うれしいことにロストロポーヴィチがバッハの無伴奏チェロ組曲全集を残してくれていた。

かつてロストロポーヴィチは旧ソ連のメロディアで第2番と第5番を録音していました。
録音はいまいちでしたが、やはり深みのある演奏でした。全集の録音は待たれていたのです。

バッハの器楽曲としてはより深く厳しい「無伴奏バイオリンソナタとパルティータ」があるが、無伴奏チェロ組曲は、チェロという楽器の特性か、低い豊かな音が、曲想のストイックな内容ながらも、どこか暖かい印象があるのだけれど、ロストロポーヴィチの演奏はそれを体現していて、厳しいカザルスとは又違う深く暖かい演奏。豊か・・。
無伴奏チェロ組曲 パブロ・カザルス(チェロ) (1936年〜39年録音)

まず鮮明な音に驚く。LP時代はこんな感じじゃなかったように思う。(たぶん初出はSP)

カザルスを聞いてしまうとやはりさすがのロストロポービッチでもまだ・・・と思ってしまう。
ストイックさ、鋭さ。おそらくはとてもバッハ的な、決して優雅な感じではなく、レガートでもたどたどしく思ってしまうのだけど、とても男性的で説得力のある演奏。
マタイ受難曲 カール・リヒター指揮
ミュンヘンバッハ管弦楽団。合唱団、独唱;エディットマティス他
しかし、この曲を聞いて完全にバッハのイメージが変わってしまった。なんというロマンティックな曲。しかしこのストイックな冷徹なリズムは紛れもなくバッハなのだ。
リヒターはそのスタンスを崩すことなく、この曲の感情をすべて表出させている。
今更ながらリヒターの天才を感じる。


inserted by FC2 system